2019年の夏に我が家にお迎えした文鳥のコンスタンティヌスが
肝臓疾患(肝臓腫瘍の疑い)で虹の橋を渡りました。
肝疾患や腫瘍というと、
なんとなく投薬を続けて一年くらい頑張って・・・みたいなイメージが強かったんですが
今回のケースは非常に稀だと思うので記録しておくことにしました。
1月の半ば、呼吸音にプチプチという音が混じっている、
とコンちゃんを握っていた息子が気付いたのですが、
気持ちよくて嘴をギリギリさせた音じゃないの?と私もその時は確認しませんでした。
翌々日くらいに、なんか脚の力が弱くなっている、と息子が気付き
プチプチ音も明らかに嘴から発されているものではなかったため
1月18日(土)に小鳥専門の病院で受診しました。
診断では、甲状腺か気管支の腫れが原因だろうとのことでした。
レントゲンを撮ってもあまりハッキリと写らない事や、鳥への負担も大きいことから
両面の可能性を考えてヨード剤と抗生物質で対処しましょう、と
お薬を貰って帰宅しました。
この日頂いた薬は、白濁した抗生物質(一日一回2滴)、ヨード剤(30mlの水に一滴)。
1月25日(土)
一週間経ってもあまり効き目が無く、
むしろ開口呼吸の症状が出てしまったため、再び受診。
ヨード剤はそのまま継続、抗生物質のチェンジをしました。
その薬で開口呼吸は無くなったのですがプチプチ音は止まりませんでした。
コンちゃんはツボ巣にお籠りになることが増えて来ました。
2月1日に再受診。
二週間抗生物質を投薬しているけど、まだ続けて大丈夫かどうか確認したところ、
通常3週間くらい投薬することもあるから問題ないとのこと。
抗生物質って結局は毒なんで、続けるのがとても不安だったんですけどね・・・
ここからの一週間、コンちゃんはみるみる弱って行きました。
薬を飲ませるために捕まえようとすると
最初は、逃げたり噛んだりして来たのですが
全然逃げなくなりました・・・
それでも自力で御飯を食べているのが救いでした。
2月7日(金)
この日、予約診療のみだったので
朝イチに電話を掛けて当日の予約が出来るか確認しました。
プチプチ音が改善されない事や、脚も弱って来ていること、
抗生物質が辛いのでは、を伝えました。
3週間抗生物質を投与して収まらないのなら、気管支炎の線は薄いので
お薬は止めてしまって下さい、との事。
現状、出来得る対処は全てやっているのでこれ以上のことは出来ず、
レントゲンを撮って原因を調べる方法もあるけど、
テープで固定している間にショック死してしまうリスクもあるそうで。
それをしても小鳥ではハッキリ写らないものが多く。
結構な覚悟が必要な診療になります・・・
いずれにしても、
金曜日は助手が居ないためレントゲンは撮ることができないとの事でしたので、
翌日に再診に行くことにしました。
また、この日の朝からご飯をあまり食べなくなって来ました。
止まり木から滑り落ちる姿も。
今迄の経験から、こうなると回復は難しいことも解ってはいるのですが
諦めきれませんよね・・・
2月8日(土)
今迄の中で一番体調が悪そうに見えました。
これまではツボ巣に手を差し出すと噛みついて来たけど
もうそんな体力も無い感じだった。内側のカーブに身を寄せて動かない。
全くご飯を食べなかった。息子がコンちゃんを手に包み撫でているとグッタリしてしまい、
死んだように動かなくなったのです・・・
その後ハっと起き上がったけれど、生気は無い。
もうダメなのかな・・・覚悟は必要なんだろうな・・・
外気温が少し暖かくなってから出発。
車の中で、コンちゃんは少しばかりシードをつついて居ました。
食べられるならまだ大丈夫かなぁ・・・
病院に到着し、順番待ち。
膝上の小さなキャリーの中、またご飯を突つき始めた。
こちらを見上げるコンちゃんと目が合った。
「出してー!」とケージの上部に伸び上がるコンちゃん。
なんとなく元気に見えて、ここからV字回復の未来を想像したり。
診察に呼ばれ入室。
昨日電話で話した通り、レントゲン撮影をする事になりました。
助手さんが準備を進めている間に本の写真を見ながら色々と説明を受けました。
「サクっとやっちゃいますね」とコンちゃんのキャリーを抱えて部屋を出る先生。
弱った身体にどれほどの負荷が掛かるか、
無事に帰って来てくれと祈るしか出来ませんでした・・・
数分後、コンちゃんは生還。
なんとかレントゲンは乗り切ってくれました。
でも、診察の結果は悲しいものでした。
レントゲン写真を見ながら受けた説明は・・・
甲状腺は正常。
砂肝の位置が下にズレ過ぎている。
他の臓器が押していると考えられる。
その位置にあるのは肝臓。
この大きさは炎症ではなく腫瘍の可能性が大。
プチプチした音は、肥大した肝臓が肺を圧迫していた所為だと思われる。
とのことでした。
今回の触診ではパンパンになった腹部が確認されました。
「最初にレントゲンを撮って置けば・・・」
と先生は申し訳なさそうに言いました。
確かに、最初の診察でそうして貰えれば
抗生物質で肝臓にダメージを与えまくる事は避けられたかもしれません。
こんなに早く逝ってしまう事は無かったかもしれません。
でも、小鳥のレントゲンなんてそう簡単に、気軽に撮るようなものじゃないことも
私は承知しています・・・
今回のケースは、診断が非常に難しかったのだと思います。
息子は、自分がプチプチ音に気付かなければ
もう少しコンちゃんは長く生きたかもしれないのに、と言っていましたが
脚の力が弱り、肺を圧迫する程の大きさに腫瘍が育っていたのだとすれば
そこまで変わらなかったかもしれません。
二度目の診察で腹部の触診をした際に腫れの所見が無かったのは、
腫瘍が内側に向かって大きくなっていたからでは・・?
抗生物質を三週間投与された事で毒素が溜まり
炎症でパンパンに腫れあがってしまったのだと・・・
そう考えれば合点が行くなぁと。
素人の考えではありますが・・・うん。
「こうなると治療は不可能です・・・」と悲しそうな顔の先生。
何も出来ない=何もしない、という選択もありましたが、
万が一の希望に縋り、
腫瘍を叩くインターフェロン(注射)と炎症止めが処方されました。
帰路の車内では、少し元気そうに見えました。
帰宅後、全く止まり木に止まれなくなってしまったコンちゃんに向けて
バリアフリーのリフォーム。
ツボ巣から皿巣に交換し(ツボ巣だと何かあった時になかなか取り出せない)、
ケージの底網を底上げして、ヒーターの熱効率を上げました。
とにかく移動しやすい様に、
首を伸ばせば御飯が食べられるように、皿巣と同じ高さであちこちに餌を設置。
皿巣の中にまでシードをばら撒きました。
夕方までは、ちょっと移動してご飯を少し食べ、
戻ろうとして体勢を変えると、脚を踏み外してとんでもない形でひっくり返る・・・
を繰り返していました。
(3cmの高さの止まり木も危険になったので、それも外しました)
この数日を乗り切ってくれれば・・・
注射が効いて、炎症止めの効果が出れば・・・
小康状態でも保って欲しいと祈りました。
しかし19時過ぎには、皿巣から出ることもなくなり
呼吸も浅くなっていました。
こうなるともう厳しいです・・・
経験上、数時間も保たないことが殆どです・・・
が、22時を過ぎてもコンちゃんは頑張っていました。
今日は徹夜で見守る覚悟でサクっと入浴。
風呂上がり間際に「コンちゃんが暑がっているからカバー捲っておいた」と息子。
すぐに行ってみると、コンちゃんは開口呼吸。
ケージの温度は25℃。暑いわけではない・・・
身体を持ち上げると
体温が下がっていました。
そろそろ、人間も覚悟しなきゃいけないね。
握られることが大好きだったコンちゃん。
握られたまま眠って貰えるように、
掌に載せて、着る毛布に一緒に包まって
息子と交代で握りながら、名前を呼んで、撫でて、見守って・・・
薄っすらと開いた黒い瞳には、一緒にいる人間が見えていたかな?
名前を呼ぶ声は聞こえていたかな?
浅い呼吸が少し荒く変わると間もなく、ふっと動かなくなりました。
2月9日 午前01:13
コンちゃんの魂は、虹の橋を渡りました。
いつも掌で平べったくなって背中を嗅がせてくれたコンちゃんは、
天に召されるその時も、同じように掌に居てくれました。
体中に毒が巡った状態で、苦しいはずなのに
危篤状態から6時間も・・・人間の心の準備を待ってくれました。
こんなに頑張る強い文鳥は今までに出会ったことがありません。
まさに、皇帝コンスタンティヌス。
崇高なる精神と、美しい翼、艶やかな嘴、最高の握り心地。
ずっと忘れない。
うちに来てくれて有難う、コンちゃん。
生まれ変わったら、また会いに来てね。